dancetoday2013 公演を終えて,
はて、僕は一体日本で何をしてきたのか。
いともあっけなく終わり、またフランクフルトのアパートでひとりジンジャー茶をすする。
しかし、精も根も使い果たしてしまった。エネルギー空っぽの状態で飛行機に乗ったものだから、
両耳を中耳炎になってしまうという有様。情けないが、仕方ない。
『詠う~あなたが消えてしまう前に~』
なんていうタイトルだろう。これは!!僕ひとりじゃこんなタイトルにはならない。
ひとりじゃあ、この作品は出来なかった。
2013 10 28
酒井はながいて、蓮沼執太がいて、衣装のみちよさん、映像を撮り続けてくれた金巻勲君、
最終的にほぼアシスタントをしてくれた宮川愛一郎、さいたま劇場のスタッフ方々。
蓮沼執太を紹介してくれたウェブデザイナーの石黒さん。
沢山の影響があって『詠う~あなたが消えてしまう前に~』。これが出来た。
最終的にほぼアシスタントをしてくれた宮川愛一郎、さいたま劇場のスタッフ方々。
蓮沼執太を紹介してくれたウェブデザイナーの石黒さん。
沢山の影響があって『詠う~あなたが消えてしまう前に~』。これが出来た。
仲間とはいいものだ。
固定概念をどんどん壊してくれる。
そもそもコンセプトなんかなくて、ただ単純に、純粋に踊りたかった。
ノーコンセプトというコンセプト。ダンスの根源をたしかめたかった。
複雑にせず、シンプルな振付と構成と音楽で踊りたかった。
きっとそれこそ、極上でそして、とても難しい。
それが出来たかどうかはわからないが、手応えはある。
目指すものが、すこし輪郭をあらわしたよう。
立ち方と立ち位置を変えたいなと、
言葉で言うと、そんな感じ。
今回、もっとも印象的だった事件は、初日の本番中、
音楽が止まってしまった事件。
この瞬間で実にいろんな事を考えた。
耳が冴え、自分の呼吸、相手の呼吸、床の音など、一気にきこえはじめた。
その状況を楽しんでしまっていた。
とにかく、大丈夫だから続けようと、言葉無くして僕もはなも、伝え合い、おどった。
みんななんとかしてくれるさ、僕らがなんとかする、と。
もしそのあとも音がでなかったら、途中で自分で状況をアナウンスしようというところまで考えた。
心配ないさー、とみんなをもっとも頼りにした。そして、頼ってくれと。
15秒くらいしてから、音楽が再び流れる。
その15秒は体感では30分くらいに感じた。時間は歪む。
終演後、蓮沼執太がごめんなさいと楽屋に走ってやってくる。コンピューターがフリーズしてしまったらしい。
彼は本番中にブースで音出しをしていたのだ。音の停止はその最中の事件であった。
楽屋に蓮沼執太があらわれたとき、彼は僕がいままで見たなかで一番人間くさい表情をしていた。
それが、僕は嬉しかった。すこし意地悪であるが、完全無欠の男がやらかしたのがなにか、愛らしくてね。
舞台は本当に何が起こるかわからない。魔が差すのである。人の隙を突く。
しかしながら、無事に終えられた事を感謝した。
これは僕たちにとって大きなプレゼントだった。
怪我の功名作戦。
2日目から、このアクシデントでできた無音を音楽に取り入れた。
舞台で踊りながら音が無くなるとわかっていても、なぜか絶妙のタイミングで無音になり驚かされる。
はっとする。このはっとすることが、なかなか踊ってると、忘れてしまいがちになる。
踊りモードになってしまい、踊りに酔ってしまう。
はっと、はっと、驚きの連続でなきゃいけない。
それを、気づかされた。
いい仲間がいて、どこまでもポジティブなひとたちで、
とても恵まれました。
そして、この舞台という、とたんに終わるあっけない時間を繋いでいきたい。
あっけなく終わってしまうから、きっと美しい。人の記憶に永遠と刻まれるかもしれない。
そんな可能性がある、舞台。
ただ、これでおわりではなく、これから続けていける環境を日本で獲得しなければならない。
アルトノイは活動を続けていきます。
ありがとうございました!!!!