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  • dancetoday2013 公演を終えて,

    はて、僕は一体日本で何をしてきたのか。
    いともあっけなく終わり、またフランクフルトのアパートでひとりジンジャー茶をすする。
    しかし、精も根も使い果たしてしまった。エネルギー空っぽの状態で飛行機に乗ったものだから、
    両耳を中耳炎になってしまうという有様。情けないが、仕方ない。

    『詠う~あなたが消えてしまう前に~』
    なんていうタイトルだろう。これは!!僕ひとりじゃこんなタイトルにはならない。

    ひとりじゃあ、この作品は出来なかった。

    酒井はながいて、蓮沼執太がいて、衣装のみちよさん、映像を撮り続けてくれた金巻勲君、
    最終的にほぼアシスタントをしてくれた宮川愛一郎、さいたま劇場のスタッフ方々。
    蓮沼執太を紹介してくれたウェブデザイナーの石黒さん。
    沢山の影響があって『詠う~あなたが消えてしまう前に~』。これが出来た。
    仲間とはいいものだ。
    固定概念をどんどん壊してくれる。
    そもそもコンセプトなんかなくて、ただ単純に、純粋に踊りたかった。
    ノーコンセプトというコンセプト。ダンスの根源をたしかめたかった。
    複雑にせず、シンプルな振付と構成と音楽で踊りたかった。
    きっとそれこそ、極上でそして、とても難しい。
    それが出来たかどうかはわからないが、手応えはある。
    目指すものが、すこし輪郭をあらわしたよう。
    立ち方と立ち位置を変えたいなと、
    言葉で言うと、そんな感じ。
    今回、もっとも印象的だった事件は、初日の本番中、
    音楽が止まってしまった事件。
    この瞬間で実にいろんな事を考えた。
    耳が冴え、自分の呼吸、相手の呼吸、床の音など、一気にきこえはじめた。
    その状況を楽しんでしまっていた。
    とにかく、大丈夫だから続けようと、言葉無くして僕もはなも、伝え合い、おどった。
    みんななんとかしてくれるさ、僕らがなんとかする、と。
    もしそのあとも音がでなかったら、途中で自分で状況をアナウンスしようというところまで考えた。
    心配ないさー、とみんなをもっとも頼りにした。そして、頼ってくれと。
    15秒くらいしてから、音楽が再び流れる。
    その15秒は体感では30分くらいに感じた。時間は歪む。
    終演後、蓮沼執太がごめんなさいと楽屋に走ってやってくる。コンピューターがフリーズしてしまったらしい。
    彼は本番中にブースで音出しをしていたのだ。音の停止はその最中の事件であった。
    楽屋に蓮沼執太があらわれたとき、彼は僕がいままで見たなかで一番人間くさい表情をしていた。
    それが、僕は嬉しかった。すこし意地悪であるが、完全無欠の男がやらかしたのがなにか、愛らしくてね。
    舞台は本当に何が起こるかわからない。魔が差すのである。人の隙を突く。
    しかしながら、無事に終えられた事を感謝した。
    これは僕たちにとって大きなプレゼントだった。
    怪我の功名作戦。
    2日目から、このアクシデントでできた無音を音楽に取り入れた。
    舞台で踊りながら音が無くなるとわかっていても、なぜか絶妙のタイミングで無音になり驚かされる。
    はっとする。このはっとすることが、なかなか踊ってると、忘れてしまいがちになる。
    踊りモードになってしまい、踊りに酔ってしまう。
    はっと、はっと、驚きの連続でなきゃいけない。
    それを、気づかされた。
    いい仲間がいて、どこまでもポジティブなひとたちで、
    とても恵まれました。
    そして、この舞台という、とたんに終わるあっけない時間を繋いでいきたい。
    あっけなく終わってしまうから、きっと美しい。人の記憶に永遠と刻まれるかもしれない。
    そんな可能性がある、舞台。
    ただ、これでおわりではなく、これから続けていける環境を日本で獲得しなければならない。
    アルトノイは活動を続けていきます。
    ありがとうございました!!!!
    2013 10 28
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